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手描きスケッチパース講師の「ススム日記」

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それぞれの役割がある

皆さんは、お施主様に提出する図面の”スケール”に気を配っていますか?

”スケール”つまりは「100分の1」や「50分の1」、「20分の1」といった計画図の大きさです。
自分自身のエスキースの段階では、大抵は始めに「100分の1」スケールで計画・デザインしてゆくでしょう。

おおまかなゾーニングや間取りが整ってきたら、スケッチパースをサッと描きながら空間全体の検討へと移行し、少し突っ込んだ部分については『納まりの概略な検討』として、「50分の1」「20分の1」といったスケールで確認している事でしょう。

実際、お施主様との打ち合わせが佳境を迎えてきたら、「10分の1」「5分の1」又は「原寸(1分の1)」で検討・確認するでしょう。自分自身が設計・デザイン計画でその都度行っている検討スケール感が、お施主様にとっても大変重要な意味合いがあるのです。

「100分の1」スケールは、敷地に対してどうゆう位置にどれくらいの大きさの住宅が計画されるのか、又外構はどのような使用勝手としているのかを表現する大きさです。
それ以上の細かな話は、「100分の1」ではスケールが小さすぎます(お施主様は想像できません)。

間取り・動線計画・使用勝手・家具レイアウトといった、『どうゆう生活ができるのか』という説明には、「50分の1」スケールが必要(最適)です。
次に、そこにある造作的な細かい話し(検討)は「20分の1」又は「10分の1」スケールにて表現します。
そこには、幅・高さ・厚み・素材感などが表現され、実際に使用勝手として適切かをお施主様は共に検討・確認してゆけるわけです。

このように”図面スケール”には各々の意味合いがしっかりとあり、『このスケールではこの内容を検討・確認する』という明解な意図があります。「100分の1」スケールだけでは、お施主様の”満足する住まい”は建たないでしょう(建てられない)。かといって、始めから「20分の1」「10分の1」スケールでエスキースをしても意義がありません(全体がわかりにくくなる)。

『適”縮”適所』によって、お施主様と共に理解・検討・確認・選択・決定をしてゆく事が、設計・デザイン力を上げより充実した内実のある住宅を提案できる事に繋がり、結果お施主様の”満足”に結びついてゆく事になります。

『各スケールの役割とスケッチパース』の意義と意味合いが、これでご理解できたと思います。これも、手間・ひまを掛ける事の重要性を物語っています。人間同様、意味のないスケールは存在しないという事を胆に銘じて、日々の作業に役立てて下さい。
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by sketchpers | 2008-08-12 18:29